グループを利用した参加者の管理方法

グループの機能を使うと、ひとつのコースに参加している学生をグループに分けることができます。グループワークなどに利用できるだけでなく、同じ内容の授業を複数開講している場合などにも活用できます。

同じ内容の授業を別々の時間帯に開講している場合を想定し、ひとつのコースで時限ごとに学生をグループ化して扱う方法を解説します。

基本的な考え方

Moodleでは、コースの成績管理などの機能をグループごとに分けて扱えます。また、多くの教材がグループの機能に対応しています(例えばグループごとに採点がおこなえるなど)。

自分が作成したコースは、設定を「グループなし」「分離グループ」「可視グループ」の3種類から選ぶことができます(初期設定では「グループなし」になっています)。

コースのグループモードを「分離グループ」または「可視グループ」に設定すると、成績の一覧画面や各教材の採点画面などに「グループを選択するメニュー」が表示され、グループごとに成績を確認したり採点をしたりできます。また、そのコースへ新たに教材を追加すると、その教材はグループの機能を使う形に自動的に初期設定されます(この初期設定は後で変更できます)。

また、登録キーとして、グループごとに別々の「グループ登録キー」を設定できます。学生にコースへの登録作業をさせるときに、「コースの登録キー」ではなく「グループ登録キー」を学生に伝えて作業をさせることで、コースへの登録とグループへの割り当てを同時におこなえます(コースへの登録後に教員が手動でグループに割り当てることもできます)。

なお、別々の時限に開講している授業を、グループ機能を使ってひとつのコースで運用したい場合には、このページの最後に記載した「グループ機能を開講時限ごとにわけて使う場合の注意点」を読んだうえで、利用するかどうかの判断をしてください。

登録キーを利用したグループ機能の使い方

ここでは、グループ登録キーを利用して、コースへの登録と同時に学生をグループへ割り当てる方法を説明します。

以後の説明では、コースがすでに作成されていて学生がまだ登録されていないことを前提とします。すでに学生が登録されている場合には、教員が手作業でグループ分けをするか、学生全員の登録を一度抹消してグループ登録キーで再登録させるか、どちらかの方法が必要です。

作業の手順はつぎのとおりです。

  1. コースのグループモードを「分離グループ」に設定する
  2. あらかじめグループを作成し、別々の登録キーを設定する
  3. 登録方法に「自己登録」を追加してグループ登録キーを使う設定をする
  4. 学生にグループ登録キーを伝えてコースへ登録させる
  5. 既存の教材のグループ機能を有効にする(新規に追加する教材では不要)

1.コースのグループモードを「分離グループ」に設定する

下記の方法で、コースのモードを「分離グループ」にすることができます。なお、「可視グループ」にすると、学生は他のグループの活動を見ることができます(例えば掲示板で別グループの参加者が書きこんだ投稿を閲覧できるなど)。

(1) コースのトップページで右上の「歯車」のボタンのメニューから「設定を編集する」を選ぶ。

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(2) 設定項目の中から「グループ」を探し、「グループモード」を「分離グループ」に変更して、「保存して表示する」をクリックする(「グループ」の設定が閉じている場合は、左側の三角形のボタンを押すと展開できます)。

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なお、「グループモードを強制する」の項目を「Yes」にすると、ここで設定したグループモードが全ての教材に適用され、教材ごとにグループ機能を使うかどうか選択することはできなくなります。

2. あらかじめグループを作成し、別々の登録キーを設定する

グループ機能をつかうためには、あらかじめ必要な数だけグループを作っておく必要があります(例えば「月曜3限」「水曜2限」の2つのグループを作っておくなど)。グループは下記の方法で作成できます。

(1) 「参加者」の画面を開く。

コースのトップ画面の左上の「線が三本描かれたボタン」でサイドメニューを表示させ、「参加者」を選択することで、参加者の画面が開きます。

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(2) 右上の「歯車」のボタンのメニューから「グループ」を選択する。

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(3) グループの数だけ以下の作業を繰り返す

(3-1) 「グループを作成する」のボタンをクリックする。

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(3-2) グループ名と登録キーを入力する。

必ずグループごとに別々の「グループ名」と「登録キー」を設定してください。登録キーは「ペン」のボタンで編集でき、入力後にエンターキーを押す必要があります。また、「目」のボタンで入力内容の確認ができます。 グループIDナンバーはグループを番号で扱いたいときの設定なので、特に理由がなければ空欄でかまいません。

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(3-3) 「変更を保存する」をクリックする。

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「月曜3限」と「水曜2限」の2つのグループを作成した場合、下記のような画面になります。

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この画面の左側の枠内でグループ名を選択してから「グループ設定を編集する」をクリックすることで、名称や登録キーなどを再編集できます。また、右側の「ユーザを追加/削除する」のボタンを使って手作業でグループに学生を割り当てることもできます。

3.登録方法に「自己登録」を追加してグループ登録キーを使う設定をする

グループ登録キーは、グループを作成しただけでは使えません。登録方法に「自己登録」を追加し、そこでグループ登録キーの使用を許可する必要があります。作業方法を以下に示します。

(1) 「参加者」の画面を開く(方法は上記 2. の(1)の手順と同じです)

(2) 右上の「歯車」のボタンのメニューから「登録方法」を選択する。

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(3) 「自己登録」の設定画面を開く。

 すでに「自己登録」の項目が作成できていれば、その項目の右側の歯車をクリックします。もしまだ「自己登録」の項目が作成されていなければ、「登録方法を追加する」のメニューで「自己登録」を選択します。

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(4) 「カスタムインスタンス名」と「登録キー」を設定し、「グループ登録キーを使用する」の項目を「Yes」にする。

このページで設定する「登録キー」は、グループの割り当てをせずにコースへの登録をおこなうためのものです。「カスタムインスタンス名」は登録方法の一覧で表示される名称です。

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(5) 「登録方法を追加する」をクリックする(すでに追加済みの場合は「変更を保存する」をクリックする)。

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4. 学生にグループ登録キーを伝えてコースへ登録させる

ここまでの作業で、グループ登録キーが使えるようになります。 学生にコースへの登録作業をさせるときに、コースの登録キーではなく、「グループ登録キー」を伝えてコースへの登録をさせます。

例えば「月曜3限」のグループの登録キーを「LSMON3」、「水曜2限」のグループの登録キーを「LSWED2」に設定していた場合、月曜3限の履修者には「LSMON3」でコースへの登録をさせ、水曜2限の履修者には「LSWED2」でコースへの登録をさせます。なお、コースの登録キーは使用しないので、学生へは伝えません。

この作業により、学生がコースへと登録されるのと同時に、月曜3限の履修者は「月曜3限」のグループへ、水曜2限の履修者は「水曜2限」のグループへ割り当てられます。

5.既存の教材のグループ機能を有効にする(新規に追加する教材では不要)

これで、学生がグループへと登録され、参加者の一覧や評定などの画面にグループを選択するメニューが表示されて、別々に管理ができるようになります。

Moodleのほとんどの教材は、グループ機能に対応しています。コースのグループモードを「分離グループ」に設定した後で追加した教材は、自動的にグループの機能を使う形に設定されます。

コースのグループモードを「分離グループ」に設定する前に追加した教材は、個別に設定を変更しない限りグループ機能を使わない設定のままになります(コースの設定で「グループモードを強制する」をYesにした場合を除く)。

下記の方法で教材ごとに個別にグループの設定を変更できます(画像は「小テスト」の設定の変更例)。

(1) 教材のページを表示し、右上の「歯車」のボタンで「設定を編集する」を選択する。

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(2) 「モジュール共通設定」の項目を開き、「グループモード」の設定を変更して、「保存してコースに戻る」をクリックする。

グループモードの項目は、コースを「グループなし」に設定している場合には表示されないので注意してください。

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「小テスト」のグループモードを「分離グループ」に設定すると、下図のように、採点画面に「分離グループ」のメニューが表示されます。

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このメニューでグループを切り替えることで、グループごとに小テストの結果を一覧したり、グループごとに採点をしたり、採点の結果をグループごとにダウンロードしたりできます。

グループ機能を開講時限ごとにわけて使う場合の注意点

下の画面は、成績を管理するための「評定」の画面です。「分離グループ」のメニューが表示され、「すべての参加者」「月曜3限」「水曜2限」の項目が選べることが確認できます。

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「月曜3限」を選択すると、このグループに割り当てられた学生の成績が表示され、例えばエクセルの形式でダウンロードすると、グループのメンバーだけの表がダウンロードされます。

ただし、グループ機能はあくまでも参加者をグループに分けるだけのもので、コースや各教材の開始時刻や終了時刻を別々に設定するような、時間の管理には対応していないので注意してください。

開講時限の違う授業でひとつのコースを利用する場合、課題の締め切りなどは教材の機能で制限することはせずに、文章で学生に告知をしたうえで提出時刻などで判断することをお勧めします。